新進気鋭の盗賊王をよろしく！〜転生先の異世界なんかじゃ狭すぎる。ファンタジー、SF、過去、未来、世界を飛び越えて探す無限大の超ハーレム。恋愛、冒険、バトル、日常、97人いる嫁達との日々は大忙し〜（氏家 慷）

【時刻：昼】 【世界：西暦2523年　アース2】 【場所：人造移動大陸　パンゲア・アナンケ】 【情景：カンカン照りの廃墟と死体の山】 【パーティ：カケル、メイ、ミコト、ノール、ホルス　計5名+ツムギ(通信)】 　 　俺達のゲルを襲撃してきた恐竜人間達のボスは繭の中に包まれ、そいつが連れていた雑兵達の1/4程度が女性の姿へ変化した時。あまりの衝撃に注意が逸れたが、上空にはカラフルな飛行機雲が5つ。 　砂漠化したスラム街に着地時の衝撃が伝わって砂煙が舞う。しかし、そんな視界の悪い中でも一瞬で何処にいるかわかる程にピカピカとカラフルな色に光っているそいつらは、恐竜人間の雑兵目掛けて一足飛びで駆け寄った。 　子供の頃に見た戦隊ヒーローの様な赤、青、黄、緑、桃色の5人組。閃光を放ちながら移動するそれはフルフェイスのヘルメットを被り、ライダースーツを着ているので尻尾以外は人間と区別が付かないシルエット。 　彼らは瞬きする間に数百人はいた恐竜人間の雑兵のうちの2割程度を吹き飛ばし、驚いた雑兵達は慌てて応戦する。 　赤くて丸い野球ボール大の光球を連射するマシンガンを一斉に放って応援する雑兵達だったが、5人組のスーツから白い球状のバリアが発生して弾を弾いてしまう。 　雑兵A 「ちっ、もうヒーローが嗅ぎつけてきやがったのか！ 　Bullet Bounce(B・B)フィルターが消えるまで撃ちまくれ！」 　ヒーロー・赤 「殺人鬼 ゼカリアと脱獄囚達を見つけるなんてラッキーだな〜。一人残らず捕まえろ！」 　ヒーロー・青 「極小化監獄(ドールハウス)からここまで来るなんて大したもんだな。周辺の警備を増やしても見つからないはずだ」 　ヒーロー・黄 「この近くには三大監獄のうちのもう一つ。迷宮地下監獄(下水道)があるからな。そこを襲う気なんじゃないのか？」 　雑兵達は必死に応戦しているがヒーロー達は弾幕の中でも余裕の様子。面白いから暫く見物しようとも思ったが、今日の成果物を傷付けられるのは勘弁だ。 　カケル 「おい、そこの5人組。ちょっと話をしよう」 　ヒーロー・赤 「おっと、先客がいたのか。すまない、横取りするつもりは無かったんだ。 　見ない顔だが、新規事務所の所属か？」 　カケル 「いやいや、良いんだよ。そいつらの弾が尽きるまでこっちで休んでろ。その方が楽だ」 　ヒーロー・黄 「それは助かる！ 　お言葉に甘えさせて貰うよ」 　ヒーロー・赤 「ああ、正直言ってこの人数は厳しいからな。ありがとう！」 　カケル 「なあ、コイツらは馬鹿なのか？ (ひそひそ)」 　ホルス 「おめえさん達が付けてる鎧は、この世界のヒーローが付ける装備とそっくりだからな。同業者だと思われてんだろ。揃いで着てるから事務所に所属してるみてえに見えるしな (ひそひそ)」 　カケル 「そうか。それは好都合！」 　ヒーロー・赤 「いや〜、それにしても良い装備揃ってるな〜。羨ましいよ。 　B・Bフィルターがオーバーヒートしそうだったし、ここは正にオアシスだ」 　カケル 「あれ？ 簡単だったな」 　ホルス 「そいつらの装備はエネルギー兵器しか弾けねえんだ。そんな事したら一溜りもねえよ」 　ヒーロー・赤 「え……？」 　5人全員がホルスが張ったバリアの中に入ってくると同時に俺は一瞬で駆け寄り、両手でヒーローの首をしっかり掴んでアメフトのボールのように抱えながらもぎ取った。 　瞬きするよりも速く首と体が離れたヒーローは首だけでも暫く喋っていたが、視界の変化に困惑し、目の前にある自分の体が噴水の様に血を噴き出して倒れるのを眺めると静かになる。 　カケル 「不便な装備！」 　ホルス 「レプティリアンは元々頑丈だかんな。鉛玉なら体で受けてもある程度はへっちゃらなんだよ」 　ヒーロー・桃 「きゃあああああああ！」 　メイ 「本当に頑丈なの？投げようとしたらこの人の腕取れちゃったんだけど」 　ホルス 「おめえさん達みてえな化物に対応する体の生き物が惑星単位で存在する訳ねえ……」 　ミコト 「拍子抜けじゃな〜」 　ノール 「こんなの眼瞑っても倒せるわよ」 　ヒーロー・緑 「騙したなぁッ！」 　激昂した一人は絶叫しながら拳にメリケンサックに似た形の武器を付けてノールに殴りかかった。その武器からは局所的な衝撃波が発生し、ノールが付けていたマスクを散り散りに吹き飛ばして剥がしてしまう。 　カケル、メイ、ミコト、ノール 「「「「……！？」」」」 　ヒーロー・緑 「女……？ なんだこの人種は見た事ないぞ！」 　ヒーロー・青 「気を付けろ！ 未知の宇宙人だ。警戒令を出せ！」 　ヒーロー・黄 「発令した！ 一旦引くぞ！」 　ヒーロー・桃 「待って！ 助けてよ！ 　お願い……！」 　カケル 「マスクを剥せるのか？ 　前言撤回だ。油断するな」 　ノール 「わ〜、びっくり。 　でも、これ凄いわね。再展開出来た！」 　ツムギ(通信) 「それ消耗品なのわかってる？ 　いつもみたいにナノマシンを補充しなかったら5回分しかフル装備に出来ないよ！ 　今は補充出来ないからノールは残り4回！」 　カケル、メイ、ミコト、ノール 「「「「何それ、初耳なんだけど！？」」」」 　メイ 「あの拳に気をつけなきゃ！ 　撃って、撃って！」 　ミコト 「まさか銃が役に立つとはのう」 　ノール 「実弾は跳ね返せないみたいね！」 　ヒーロー・緑 「ぐっ……！ なんだ、この弾はB・Bフィルターが効かな……」 　腹に弾丸を受けたヒーローは当たった事に困惑する。しかし、話してる途中で体内の弾丸が炸裂し、体に大穴が空いて上下半分に体が別れてしまった。 　ヒーロー・青 「速くゲート開……」 　ヒーロー・黄 「嫌だ！ やめ……」 　ドカンドカンと小刻みな爆発と飛び散る血肉。 　ヒーロー・桃 「嫌……た、助けて……」 　カケル 「良いよ、色々教えて欲しいし。君は生かしてあげるよ」 　ヒーロー・桃 「は、話す！ なんでも話すわ！」 　ホルス 「聞きてえ事があるならおらが教えてやるよ。こいつらの事も見るだけで全部わかる」 　カケル 「そういえばそうか。よし、殺せ」 　ヒーロー・桃 「嫌！ やだ、やめて！ 　貴方達に危害を加える気は無かったの！ 　お願い！ お願いしま……」 　メイ 「この弾って補充出来るの？」 　ツムギ(通信) 「出来ないよ、でも500発撃てるから暫くは大丈夫じゃない？」 　メイ 「そうは言っても、いつ補充出来るのよ……」 　ミコト 「1発で充分だったろうに」 　ノール 「3人で同時に撃っちゃった。勿体ない」 　カケル 「どうせ当てられないし俺の弾あげるよ」 　ホルス 「銃が欲しいなら近くで奪えば良いしな」 　カケル 「そこら辺を先にしっかり考えようか」 　ビチャビチャビチャっとスプリンクラーの様に広がった血肉を横目にヒーロー達が持っていた装備品を幾つか拾った俺たちは一旦ゲルの中へと戻った。